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問7 2個の同一種類のスピンの フェルミオン  が、無限に高い障壁ポテンシャル (に対してに対 して) の間を1次元的に運動している。

a.
 2粒子が 三重項スピン状態 ( オルソ状態 ) になっているとき、 基底状態  の波動関数と基底状態のエネルギーとを表せ。
b.
  一重項スピン状態 ( パラ状態 ) のとき(a)と同じ問題を 検討せよ。
c.
 つぎに非常に到達距離が短く

で近似できる引力ポテンシャルを通じて2粒子が相互作用していると仮定する。 このような特異的ポテンシャルに対しても摂動論が有効であると仮定して、 (a),(b)で得られたエネルギー準位がどのようになるかを半定量的に議論せよ。


[解答] まず、一粒子状態のエネルギー固有関数とエネルギー固有値を 求めると

となる。また、問題の粒子はスピンなので、 全体の波動関数は粒子の入れ替えに対して 反対称  である。

a.
波動関数のスピン部分は三重項(対称)なので、空間部分は反対称である。 したがって、基底状態の波動関数とエネルギーは

となる。

b.
波動関数のスピン部分は一重項(反対称)なので、 空間部分は対称である。 したがって、基底状態の波動関数とエネルギーは

となる。

c.
(a.)の基底状態に対して、 1次の摂動論でエネルギーのずれは、

となる。基底状態の波動関数が反対称的なので2つの粒子は同じ位置に 存在することはない。したがって、デルタ関数型の摂動によっては エネルギーが変化しない。このことは、摂動論が成り立つ限り 高次の摂動に対しても正しい。

(b.)の基底状態に対して、 1次の摂動論でエネルギーのずれは、

となる。 基底状態の波動関数が対称的なので2つの粒子は同じ位置に 存在できる。したがって、デルタ関数型の引力ポテンシャルによって エネルギーが下がる。



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Iitaka Toshiaki
1996年07月27日 11時31分42秒