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1 研究目的・内容

巨大次元エルミート行列の固有値固有ベクトルおよび 実時間グリーン関数[1]の数値計算法は、物理学、量子化学などの 多様な分野の重要な問題である。 これらの計算に必要な計算機時間は、行列の大きさとともに急 速に増大するので、 再帰グリーン関数法[2]、 Lanczos法[3]、 量子モンテカルロ=最大エントロピー法[4]、 強制振動子法(Forced Oscillator Method; FOM)[5] などの効率の良いアルゴリズムの研究がなされてきた。

本研究では、(1)振動する粒子源を持つ非斉次時 間依存シュレーディンガー方程式の数値解法に基づいて、 巨大ハミルトニアン行列の実時間グリーン 関数を計算する新しいアルゴリズム(粒子源法;Particle Source Method;PSM) を開発した。 (2)有限温度系の計算をする方法[6]にこのアルゴリズムを応用した。 (3)斉次時間依存シュレーディンガー方程式の 発散する数値解を利用した固有値固有ベクトル問題 の数値解法を開発した。 (1)および(2)の計算方法は、FOMの量子力学版であり、 従来の再帰グリーン関数法、量子モンテカルロ法やランチョス法 と相補的な役割を果たすものと位置付けられる。 (3)の計算方法は、調和振動子系に対する古典運動方程式の 指数関数的に発散する数値解を利用した 最大(最小)固有値固有ベクトル問題の数値解法 [7] の量子力学版である。本研究では、最大(最小)固有値の他に 指定した範囲にある固有値とその固有ベクトルを計算できるように 拡張した。

本稿では、多数の振動数に対する グリーン関数を一挙に計算する方法、具体的な数値計算例などに ついてはページ数の関係で割愛した。詳しくは文献[9,10]を参照して いただきたい。



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Toshiaki Iitaka
1996年07月23日 (火) 11時51分49秒 JST