next up previous contents
Next: 物理学演習B(第9回) 1991年7月2日 (飯高) Up: Problems Previous: 物理学演習B (第7回) 1991年6月18日 (飯高)
VISIT MY BOOKSHELF
http://www.iitaka.org/


物理学演習B (第8回) 1991年6月25日 (飯高)

(1次元散乱問題)

  1. は、粒子が区間 に見いだされる確率を与える。 時間に依存したSchrödinger方程式

    を用いて、 確率密度の保存則

    を1次元の場合について証明せよ。 ただし、は、3次元の場合

    で定義される 流束(流れの密度)の演算子である。

  2. 質量mの粒子が次のような1次元ポテンシャルにから エネルギーEで入射するとき、 透過率 反射率を求めよ。 また、透過率のエネルギー依存性を図示せよ。 ここで、透過率Tは入射粒子の流束に対する透過波の流束の比と定義する。

  3. [応用]半導体中に作られた次のような1次元ポテンシャルに電子が から エネルギーEで入射する。ポテンシャルは電極 にかかる電圧を制御することで 自由に変えられる。透過率のに対する依存性を図示せよ。この ような半導体素子 にはどのような応用が考えられるか。

    ただし、とする。

(3次元問題)

  1. 3次元の等方調和振動子

    の固有エネルギー、エネルギー固有関数を直交座標系を用いて 求めよ。

  2. 質量mの粒子が、1辺のLの大きな箱の中に閉じこめられている。

    1. 周期的境界条件

      を用いてエネルギー固有関数およびエネルギー固有値を 求めよ。

    2. N個の自由電子が1辺のLの大きな箱の中に閉じこめられている。 (これを 自由電子ガスとよぶ。) 電子は、フェルミ粒子なので同一の状態を2個以上の電子が占めることはできない。 そこで、系の基底状態では、波数空間上ではフェルミ波数)で表される球内のひとつひとつの状態を1 個の 電子が占めている。単位体積当たりの電子の個数がnのときのフェルミ波数を求めよ。 ただし、一つの波数に対してスピン上向きと下向きの二つの状 態が あることに注意せよ。

    3. フェルミ波数を持った電子のエネルギーをフェルミエネルギーという。 フェルミエネルギーを求めよ。

    4. 状態密度

      となることを示せ。状態密度とは、が 区間 の間のエネルギーを固有値に持つ状態の数を 表す関数である。

  3. [応用] Fermi-Dirac分布関数をつかって、自由電子ガスの比熱を求めよ。 古典論と比較し結果を物理的に考察せよ。

  4. [応用]
    1. 太陽の質量をとするとき、 太陽に存在する電子の総数を推定せよ。

    2. もし、上の数の電子が半径10kmのパルサー星のなかに閉じこめられて いるとして、電子のフェルミエネルギーを求めよ。

    3. パルサー星は、おもに中性子から出来ていると考えられる。 反応の際に放出されるエネルギーが であることを考慮してこのことを説明せよ。



Toshiaki Iitaka
1996年07月25日 (木) 20時44分21秒 JST