粒子源法は、乱数を用いたトレースの計算法と組み合わせて、 有限温度の物理量の計算[6]に拡張できる。
まず、乱数を用いた巨大疎行列のトレースの計算方法[5]を見てみよう。 統計的平均を で表すとして、 条件 を満たす一組の確率変数 を用いて、 与えられた基底でのランダム・ケット を定義する。 このランダム・ケットによる任意の演算子の期待値 が、演算子のトレースを与える。
式(9)中の第2項が乱数を用いて統計的平均を とるときの誤差を与える。 たとえば状態密度
が、この方法で計算できる。
つぎに、物理量 A の有限温度 での期待値
は、上記のトレースの計算法を用いて次のように求まる。
分配関数 Z は、上式でエルミート行列 を単位行列 で置き換えれば求まる。