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  問36  1個の電子が方向を向いた一様な磁場の中を 運動している。

a.
を計算せよ。ただし

とする。

b.
ハミルトニアンと(a)で得られた交換関係を、1次元振動子の問題と 比較することによって、エネルギー固有値がただちに

のように表されることを示せ。ここで演算子の 連続固有値で、はゼロを含む負でない整数である。


[解答]

a.
問34より

 

となる。

b.
電磁ポテンシャルを

にとって、電子のスピンを無視すれば、ハミルトニアンは

   

のように、座標のみを含む部分座標と座標を含む部分に 分離できる。したがって、全ハミルトニアンの固有ケット

 

のような直積の形に書ける。 したがって、部分ハミルトニアンに対する固有方程式

の解が求められれば、全ハミルトニアンに対する固有ケットは 式(16)で与えられ、固有エネルギーは となる。

部分ハミルトニアンは、1次元の自由粒子のハ ミルトニアンと 同じ形をしているので、エネルギー固有ケットは 正準運動量演算子 の 固有ケット

であり、エネルギー固有値は

であることがただちに分かる。

つぎに、部分ハミルトニアンは、 式(15)と設問 a.の結果(12)より、

という形をしており、1次元調和振動子のハミルトニアン

と比較して

 

という対応関係が存在する。 そこで、部分ハミルトニアンは、調和振動子と同じタイプの エネルギースペクトルを持つ。 じっさい、 「生成消滅演算子」  

で定義すれば、 生成消滅演算子の交換関係 

 

が成り立つ。また、 「 個数演算子」  を定義すれば、

となるので、

と書ける。交換関係(20)を使って、調和振動子と同じ議論を すれば、ハミルトニアンのエネルギー固有値

を得る。ただし、は負でない整数である。

以上まとめると、全ハミルトニアンのエネルギー固有値は

のように表される。ここで演算子の連続 固有値で、はゼロを含む負でない整数である。

は縮退している  

調和振動子との対応関係(19)より、磁場中の粒子は

のように平面方向に円運動していることがわか る。



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Iitaka Toshiaki
1996年07月27日 11時31分42秒