Next:
Up: 1 基礎概念
Previous: 1 基礎概念
VISIT MY BOOKSHELF
http://www.iitaka.org/
問7 エルミート演算子 の固有ケット
で張られるケット空間を
考える。縮退はないとする。
- a.
-
は零演算子
であることを証明せよ。
- b.
-
はどのような意味のある演算子か。
- c.
- をスピンの系のに等しい
と置き、
(a.)と(b.)を説明せよ。
[解答]
- a.
- まず、演算子の任意の固有ケットに
問題の演算子
を作用させてみる。
だから、
となる。
問題のケット空間の任意のケットは
を基底として
と展開されるので、式(1)をつかって
となる。よって、は
零演算子である。
- b.
- まず、演算子の任意の固有ケットを問題の演算子
に作用させてみると、
となるので、
との二つの場合に分けて考える。
- のとき、
設問( a.)と同様にして、分子の因子のうちの一つが
ゼロになる。縮退はないので分母はゼロにならない。したがって、
となる。
- のとき、の因子がないので
となる。
よって、一般に
と書ける。
任意のケットに
を作用させ
てみよう。
はを基底として
と展開されるので、
となる。よって、
は任意のケットからの成分だけをとりだす 射影演算子
である。
- c.
- 演算子とおくと、の固有値固有ケットは
である。
(a.)零演算子は
となる。
この演算子を任意のケット
に作用させてみよう。
となって、実際に零演算子になっている。
(b.)射影演算子は、,とすれば、
となる。
この演算子を任意のケット
に作用させてみよう。
となって、実際にの成分を取り出す
スピン射影演算子
になっている。また、とすれば、
スピン射影演算子は
となり、の成分を取り出す演算子になる。
Next:
Up: 1 基礎概念
Previous: 1 基礎概念
Iitaka Toshiaki
1996年07月27日 11時31分42秒