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post-perovskite 
post-perovskite地球マントル最深部D”層の謎に第一原理電子状態 計算で迫る。
理化学研究所(歴史 拠点 成 果 展示  漫画)   飯高敏晃 www.iitaka.org
最 先端放射光施設 SPring -8概要)(放射光入門理研スーパー・コンバイン ド・クラス
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post-perovskite

関連ニュース:
20101209 地球の奥深く、地下3千キロに未知の層 九大教授ら発見

要旨:
本研究では第 一原理電子状態計算法を使って「MgSiO3ポストペロブスカイト」中を伝わ る地震波の 速度を計算しました。その結 果、「MgSiO3ポストペロブスカイト」の存在によりD”層における地震波速度の不連続性・異方性など種々の観測結果を矛盾無く説明し得ることが明らか になりました。これにより地 球科学の最も重要な謎の一つに光が当てられました。本研究成果は、英国の科学雑誌『Nature』 (7月22日号)に掲載され ます。                 【無料pdfファイルはこち ら

  廣 瀬敬教授、第21回日本IBM科学賞受賞

Post-Perovskite Phase Transition in MgSiO3, Science 304, 855 (2004).
The elasticity of the MgSiO3 post-perovskite phase in the lowermost mantle, Nature 430, 442-445 (2004).
ビデオ1(最後に発見の瞬間?が)[WMP] [REAL]   ビデオ2[REAL]   (サイエンスチャネル)

要旨 背景 成果 展開 意義   関連論文   参考文献   地球 科学関連図書 EarthFrog

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地球 大 進化」(NHK) 
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"What's down there?" by Kim Krieger
知 恵蔵


post-perovskite ポストペロブスカイト図1
出典サイト:http://www.edu.pe.ca/southernkings/compositionch.htm

背景:
地球の内部は、地 殻の下から深さ 2,900kmまでがマ ントルでその下に核があります。マントルは上から順に、上部マントル、遷移層、下部マントル、D”層という層構造を持つことが地震波解析より知ら れています。下部マントルとD”層は「MgSiO3ペ ロブスカイト」と呼ばれる鉱物(図2a)であると考えられてきましたが、「MgSiO3ペロブスカイ ト」ではD”層での地震波速度の不連続性・異方性などの観測結果をうまく説明できず、D”層がどんな物質からできているのかはよくわかっていませんでし た。

東工大の廣瀬助教授らは、地 球最深部の温度圧力を実験室内に再現し超 高温高圧下でX線結晶構造解析を行う技術を発展させ、理化学研究所播磨研究所にある最 先端放射光施設SP-ring8で実験 することにより、D”層が「MgSiO3ポストペロブスカイト」という新発見の鉱物 (図2b)から成り立っているらしいことを明らかにしました[Science , 304, 855–858]。実験では「MgSiO3ポストペロブスカイト」の結晶構造を明らかにしました。しかし、「MgSiO3ポ ストペロブスカイト」の弾性テンソルの測定は現在の技術では不可能です。弾性テンソルとは鉱物を歪ませたときに生じる応力の大きさを表す比例定数(単位は 圧力と同じ)で、鉱物の硬さを表し地震波速度を決める量です。

post-perovskite ポストペロブスカイトpost-perovskite ポストペロブスカイト図 2


成果:

理化学研究所の飯高らはスーパーコンピュータを使った大規模第一原理電子状態計算により惑星内部相当高圧力下での物質の性 質を研究してきました。そこで本研究では第一原理電子状態計算を使って「MgSiO3ペロブスカイト」と「MgSiO3ポ ストペロブスカイト」の弾性テンソルを計算しました。その結果、「MgSiO3ポストペロブスカイト」の存在によりD”層における 地震波速度の不連続性・異方性など種々の観測結果を矛盾無く説明できることが明らかになりました(表1)。例えば、垂直方向に揺れる横波の速さをVSV、 水平方向に揺れる横波の速さをVSHとすると、「MgSiO3ポストペロブスカイト」ではVSH>VSVと なって観測と一致しますが、「MgSiO3ペロブスカイト」ではVSV>VSHと なって観測と矛盾してしまいます。
したがって今回の研究成果は、D"層が主に「MgSiO3ポストペロブスカイト」から出来ていると考える重要な根拠を与える ものです。

表1:

観測
ポストペロブスカイトの場合
ペロブスカイトの場合
D"層直上での地震波速度不連続性
〜3%
4〜7%
単純なモデルでは説明不可能
S波偏向異方性
1〜3%
4%
4%
バルク音速とS波速度の相関
逆相関
逆相関
単純なモデルでは説明不可能

展開:

これまでの地震波伝播、マントル対流などを扱う地球モデルでは「MgSiO3 ポストペロブスカイト」の存在が考慮されていません。今後、本研究成果を含め「MgSiO3ポストペロブスカイト」の効果を取り入れて、マントル深部の地 震波構造モデルを再構築する必要があります。またこのようにマントル対流の境界層であるD”層の地震波構造モデルが精密化されることにより、マントル対流 の実態、とくにマントルの底からの上昇流(ホッ トプル ーム)の発生メカニズムが解明される大きな可能性があります。ホットプルームは地球深部の熱を地 表へ輸送し大規模な火山活動をもたらすため、地球 の環境変 動にも大きな影響があります。現在活動しているハワイやアイスランドといったホットスポッ トと呼ばれる巨大火山もこのホットプルームによって形成されています。また過去には超大陸の 分裂を引き起こしたり、大量のガスを放出して(メタンハイドレートの大融 解)、気候 変 動の原因と なり、生物種の大 量絶滅(ビ デオ)を引き起こしたりしました。このようにホッ トプルームがどのよう に発生するのかを理解することは、地球内部の活動が地表の環境変動をもた らすメカニズム(NHK, NIKKEI) (MediaPlayer QuickTime  ; NHK) を理解する上で大変重要です。

意義:

本研究成果の意義は、実験では未だ測定不可能な地球マントル最深部の鉱物の弾性を第一原理計算により予測し、地震波の観測結果との関連を明らかにした点に あります。このことは今後の惑星内部の研究にはスーパーコンピュータを使った大規模第一原理計算による鉱物の高温高圧物性の研究が不可欠な手段になること を示しています。

post-perovskite

リンク
Theory of the Earth
スーパープルーム
地球科学一般」 (広島大学 地球資源論研究室
読 み物」 (丸山茂徳先生)
21世紀の新版・地底旅行(改訂)」  入 舩徹男先生) 下部マン トル
CIDER Summer'04 Tutorial Program:   "Post-Perovskite" by David Yuen "The Core Mantle Boundary" by Dan Shim
地球の年齢の測り方
サ イエンスオデッセイ 地球探求の旅(ビデオ)」(サイエンスチャンネル)
超 高圧の世界」(八木健彦先生)
 SF短編「水 晶玉
パ リティ」12月号 キー ワー 年間購 読申込
ポストペロブスカイトシール (印刷してクリスマスカード、年賀状にお使いくださ い。)
地 球儀

週刊"DUBNA: Science, Collaboration, Progress" (ロシア語)
Dubna市 新聞 "The peace square"(ロシア語)

INTERNATIONAL WORKSHOP ON THE POST-PEROVSKITE PHASE TRANSTION IN THE EARTH'S DEEP MANTLE
TIME: October 3 and 4, 2005 ( note this is a new and final date )
PLACE: TOKYO INSTITUTE OF TECHNOLOGY, TOKYO, JAPAN

(Workshop Poster)

http://www.agu.org/contents/sc/ViewCollection.do?collectionCode=PEROV1

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