第1部:ダイソン級数
【1】 相互作用表示での時間発展演算子を
と定義する。 相互作用表示の状態ケットの時間発展に対する微分方程式は
で表されることを用いて、時間発展演算子に対する微分方程式
を導け。
【2】 初期条件
を用いて微分方程式(2)の両辺を積分することにより、 に対する積分方程式
を導け。
【3】 方程式(3)の解は、逐次近似により、 ダイソン級数
の形に書けることを示せ。
摂動は演算子であるから、 一般に異なる時間の摂動演算子は交換不可能である こと、すなわち に注意せよ。
【4】 (発展問題) 異なる時間の摂動演算子が交換可能である特別な場合 、すなわち のとき、ダイソン級数は足し合わせることができて
となることを示せ。
第2部:遷移確率
【5】 相互作用表示での時間発展演算子の定義(1) より、
と表せることを示せ。ただし、はシュレーディンガー表 示での 時間発展演算子である。
【6】 時刻にのエネルギー固有状態にあった系が、 時刻tにのエネルギー固有状態に 遷移する確率は、シュレーディンガー表示では で与えられる(JJ2章参照)。相互作用表示でも
で与えられることを示せ。
【7】 位相を適当に選んで、 となるようにする。相互作用表示による時刻tの ケットは
と書けることを導け。
【8】 係数を摂動で展開すれば、
となることを示せ。
【9】 1次元調和振動子が、t<0で基底状態にあった。でこの系に 時間依存性はあるが空間的には一様な力(ポテンシャルではない)
が、x方向にかかった。 時間を含む1次の摂動論を用い、t>0で振動子が第1励起状態に 見いだされる確率を求めよ。(は有限)の極限で、 この結果は時間に依らないことを示せ。これはもっともな結果か、意外な結果か。
[ を用いるとよい。]