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問9  斥力的殻ポテンシャル 

 

による散乱を考える。

a.
s-波の 位相のずれ の関数として 決める方程式をたてよ。
b.
次に

 

のように非常に大きいとする。

  1. がゼロに近くないとき、 s-波の位相のずれは教科書本文で議論した 剛体球  の結果と似ていることを示せ。
  2. またが ゼロに近い(が厳密にゼロではない)とき、 共鳴   的ふるまいが起こりうることを示せ。 すなわちを増加させるとは正の側からゼロを通過する。
  3. のオーダーの項を残し、共鳴の位置 を近似的に決めよ。これらの共鳴を、同じ半径の 球面の内側に

     

    によって閉じ込められた粒子の束縛状態のエネルギーと比較せよ。

  4. また

     

    で定義される 共鳴幅   の近似式を求め、特にが大きくなると 共鳴が極めて鋭くなることに注目せよ。


[解答]

a.
波に対する 同値な1次元シュレーディンガー方程式 

 

を解いて位相のずれを求めよう。 ここでは動径方向の波動関数を使って と定義され境界条件を満たす。

領域の解は、容易にもとまって

  

と書ける。ただし、位相のずれを、殻の内側の 振幅を とおいた。この2つの定数は、での波動関数の接続条件

  

によって決められる。式(36)は、式(32)をの 周りの微小区間で積分して得られる。 式(33,34) を 式(35,36) に代入すると、

  

から、

  

を得る。 したがって、位相のずれは、の増加に対して なめらかに変化する背景散乱による位相のずれと 共鳴的な振る舞いを表す位相のずれの和

で与えられる。が共鳴の前後でだけ変化することに注意せよ。

b.
  1. がゼロに近くないので、

    となる。 よって、

    となって、s波の位相のずれは剛体球の結果 と似ている。 問6(a)の結果および教科書の式(7.6.44)を参照せよ。

  2. 共鳴の近傍では、は小さい側からを 横切る。いいかえれば、は正の側からゼロを通過する ことを示そう。式(37)、(38)より

     

    となる。分母は常に負であり、である から、

      

    のとき が正の側からゼロを通過し、共鳴的な振舞い が起こる。

  3. したがって、共鳴を起こすエネルギーは

      

    によって与えられる。これは、球面の内側に閉じ込められた粒子の状態の エネルギー

    とほぼ一致する。

    また、条件(42)が成り立つとき、式(39)より、 粒子が共鳴して殻の内側に一時的に閉じこめられる振幅が非常に大きくなる ことがわかる。

  4. を得る。が大きくなると、共鳴幅に比例して 小さくなり、共鳴が鋭くなる。



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Iitaka Toshiaki
1996年07月27日 11時31分42秒